2009年1月31日土曜日

鶴の恩返し

村上 龍の「おじいさんは山へ金儲けに」の中にある
「鶴の恩返し」という話しがあります。
昔話の鶴の恩返しを現代風にアレンジしている内容です。

この村上龍の「鶴の恩返し」を初めて読んだときから
今もずーっと忘れない文章があります。
それは物語の最初と最後の2箇所です。

最初は(以下村上龍「鶴の恩返し」の引用です。)

若者は28才で、デパートのアパレル売り場に勤めていましたが
これといって何か優れた技術を持っているわけでもなく
深い知識を持っているわけでもありませんでした。
考えてみると当たり前のことなのですが
技術も知識もない人は、だれかにこき使われて生きるしかありません。
つまり、だれにでもできる仕事しかできないのです。
そして、だれにでもできる仕事は、少ないお金しかもらえません。

最後は(鶴と別れて悲しみにひたっている主人公と脇役の会話)

主人公 
「こんな、悲しい恋があるでしょうか。
おれとツウは、互いに愛し合っていたのに、
理解することができないまま、
別れることになってしまったのです。
おれはツウを幸せにしたかったし、
ツウはおれのために、布を作ってくれたのに」

それは違うぞと、偉い人は言いました。

「おまえに、高い技術や、深い知識がなかった、というだけのことだ。
おまえは無知で、貧しかった。それだけだ。
理解できなかったとか、幸せにしたかったとか、
そんなことは、何の関係もない。
幸せにしたいという気持ちだけで、
他の人を幸せにできる時代は、とっくに終わっているんだ」




初めて読んだのは28才の時でしたから
書いてある文章が実感として受け止めれました。
そして無知のままではと思いWebを勉強していたので
現在の自分の居場所を開拓することができました。

村上龍の「おじいさんは山へ金儲けに」には
他にも勉強になる話しが載っています。

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